生きてみたいって思いたいし、おいしいものはおいしい

どうでもいいことも言葉にしてみたら楽しいかも

自転車

仕事を辞めた日、その帰り道、自転車を漕いで家に帰りながら、涙が止まらなかった。泣きながら、ひたすら漕いで、はやく、はやく、職場から離れたいと思った。

終わった解放感なのか、辛いのか、悔しいのか、訳が分かんないまま涙が流れて、5月のまだ少し冷たい夜の風で乾いて、家に着いて安心してまた頬が濡れた。

 

すごく嫌だった。悲しかった。どうにもできなかった。

頑張ってた。休日は年間75日くらい。私には無理だった。体調を崩しても休めなかった。喉が痛くて鼻水も止まらないまま、11時間働いた。ミスをしたら、給料から天引きされて罰金だった。おかしいなって思っても言えなかった。嫌ですを言えなかった。こういう世界だからって周りが言うけど、そんな世界なら居たくなかった。

どんどん身体が壊れていった。

 

 

今はその職場とは離れたところに住んでいるけど、少し前に家族と出かけたとき車で近くを通った。建物が見えたら、鼓動が速くなって、体が緊張して、気持ちが落ち着かなかった。

別に車で通ってるだけなのにね。

あまりこの辺通りたくないって家族にも言えなかった。近くを通るだけでこんな気持ちになると思わなかったし。

 

嫌なものとか嫌なひとから、物理的に距離をとるのって大事だと思う。それを実行するまでが難しくて葛藤するけど。

 

あの狭い世界からいなくなりたくて、はやく逃げたくて離れたくて、自転車漕いだ。

あの狭い世界からは逃げたけど、今、働けない私はまた別の狭い世界に埋もれてる。

もっともっと色んな世界を見たくて、広いって思いたくて、あの時、あの仕事を選んだのに。悔しい。よわい。

 

よくがんばったね、って素直に簡単に自分に言えたらいいのにな。

 

 

自転車を漕ぎながら流したあの涙はたくさんの気持ちがいっぱいいっぱいに詰まっていて、あのとき生きて逃げた証だから、思い出したくないけどちょっとだけ大切に思ったりする。