数年前、当時付き合っていた彼に「行け!稲中卓球部」を借りて読んだ。とても面白くてハマって、他にも古谷実作品を読んでみたいと思い「わにとかげぎす」を買った。今度は私が彼に貸した。
そんな彼との別れ際は、中々酷いものだった。プレゼントしたものを返せとか、売って現金にして送れとか、お前は最低だとか、奢らせやがってとか、時間は戻らないからお金だけでも返せとか言われて、今にも刺されそうで怖かったので引越した。
彼は実家に住んでいたので、私の一人暮らしの部屋によく泊まりに来ていた。その分、交際費は彼が多く払ってくれていたと思う。それでも外食をする時は私もなるべく払うようにしていたし、夕食を払ってもらうのなら昼食は払うとか、端数は払うとか、そういう感じで薄給一人暮らし、金欠ながらに頑張っていた。
だからこそ、ハタチそこそこの一人暮らしの若い女の子(私)に「プレゼントを現金にして返せ」「奢らせやがって」などと言ってしまうことに驚いたし単純に悲しかった。その言葉で、別れが寂しい気持ちは一気に冷めた。
ちなみに怖いのが、彼は20歳上のおじさんでした。やばかった。歳の差で悩んで別れを告げたらこうです。こわかった。歳上の余裕、ぜんぜんなかった…
怖かったし、面倒なことになるのも嫌だったので、彼の言う通りプレゼントは売って現金にして、俺が使うから返せと言われたものはそのまま返して、連絡先も絶って、私の初々しい恋は終わった。
私は贈ったプレゼントを返せなんて思わないし、時間を戻せないから金返せなんて、そんな思考にもならなかったけどな。過ごした時間は楽しかったのにな。苦い経験だ。
そんな別れから数ヶ月過ぎて、ふと思い出した。「わにとかげぎす」貸したままだ!
…あれ?それはただの借りパクじゃないか?
貰ったプレゼント返すとか返せとかより酷くないか…?
面白い漫画が読みたくなるとつい思い出してしまうちょっと嫌な記憶。