小さな動物園に行った。動物たちがのんびり生きていた。生きてるな〜と思った。
カモシカが地面に顔を擦り付けていた。かゆいのかな。
調べた。
目の下の黒いところから出る分泌物を擦り付けて、そのニオイで縄張りを主張するらしい。
かゆいわけじゃなかった。
タヌキのイラストって丸くて鼻が低くてぽんぽこりん、みたいなのが多いけど実際、鼻はシュッとしていて目つきもキリッとして割とイケメンだった。なんであのちょっとまぬけっぽいイラストが思い浮かぶようになったんだろう。
調べた。
いまいちピンとこなかった。
冬毛のときのボリュームのせいかな。
ニホンザルが猿山で毛づくろいをしていた。サルの展示ってなんでだいたい岩山なんだろう。
調べた。
岩山はサルにはあまり良くない環境みたい。暇だから毛づくろいをし過ぎちゃうらしい。少し悲しい気持ちになった。
陽に当たりながら寝転ぶサルに、母「あんなに顔真っ赤にしてる!」と。
もともと赤いよ。
ワラビーとカンガルーは大きさで区別されるらしいけど、その中間がいるらしい。で、その中間種の名前が
ワラルー
(ワラビー+カンガルー)÷2=ワラルー…てこと?
調べた。
合ってた。安直でとても良いです。
エミュー見た。デカい。飛べない鳥。同じ場所を歩き回っていた。何してるんだろう。
調べた。
エミューの肉は食べやすくて美味しい、と出てきたのでそっと画面を閉じた。
子供の頃は、本物の動物がすぐそこで動いていることにはしゃいで純粋に楽しんでいたけど、大人になってからの動物園は、そうではなかった。
小さくて狭い檻の中で、長年、生活している動物たちはどういう気持ちなのか考えてしまう。鳥は空を高く飛びたいかなとか、シカは静かな山でのんびりしたいかなとか、ペンギンは広い海を泳ぎたいかなとか。動物園ってそういう動物を見せてもらう場所だと、明確に気付いてしまって切ない気持ちになった。
動物園で動物が動物らしく過ごすのは難しいことなんだろうな、きっと色々な人が思考を巡らせ工夫を凝らして努力して動物園と動物を守ってるんだろうな。尊敬と、感謝。
動物園について特に考えたことなかった。良いも悪いも考えたことなかった。今日の私には良いも悪いも分からない。無知を知る、だ。
今までの人生に動物との関わりがあまり無かったので触れることもなかった思考だ。でも、それぞれの動物への疑問を調べていくうちに、習性や特徴を知って、白黒だけではない複雑な感情になった。今持てる知識ではどう受け止めるかも決められないので、今日から、動物の生活のことを頭の中の空きスペースで無知なりに考えてみようと思う。
日なたで気持ちよく寝ているワラルーを見て、あぁ、それ気持ちいいよね、その時間最高だよね、分かるよ。と思ったり
フラミンゴが羽を広げる瞬間を激写できたり
ミーアキャットが背筋伸ばして座っているのが可愛かったり
動物たち、生きてるなぁ。
生きてるな〜と思った。