生きてみたいって思いたいし、おいしいものはおいしい

どうでもいいことも言葉にしてみたら楽しいかも

プレゼントの感覚それぞれ

ホワイトデーになると毎年思い出しちゃう話。

 

社会人になりたてで付き合った20歳上のおじさん彼氏。を経て、新しい職場で出会った彼との交際は、未だ付き合った理由が分からない、私にとって黒歴史と言える思い出だ。

 

私は浮かれていた。おじさん彼氏と付き合って痛い目を見た私にとって、新しい職場で出会った2歳上の彼は、もう、年齢だけで合格だったのだ。今思い返せば馬鹿な話だが、それなりに若くて毎日顔を合わすことになる男性の出現で私は簡単に浮かれた。安直だ。チョロすぎる。

交際を始めてデートに行ったり長時間会話したりするうちに少しずつ違和感をおぼえた。例えば「車のイベントがあるから連れていくよ」と誘われたとき。当日途中のコンビニでチケットを買うことになった。今買うんだ、と思っていると「まだチケット買ってないよね」と。私の分は用意がなかった。

その割に私がチケットを用意したサッカー観戦のときは、チケット代をうやむやにされて、結局私にチケット代が払われることはなかった。

クリスマスにはメンズMサイズのマウンテンパーカーを貰った。ネット注文し昨日届いたらしいその品は、なぜか靴の空き箱に入れて渡された。靴かと思ったら一度も欲しい素振りを見せたことがないぶかぶかのマウンテンパーカーだったのだ。一応その場で着てみたが袖は余るしシルエットも良いとは言えない。「どうかな…?」と私が聞くと「丁度いいじゃん」と言った。

そういうちょっとした感覚のズレみたいなものが頻発してこのまま長く一緒にいるのは難しいかもしれないと思いつつも、ずるずると付き合っていた。

 

そのズレの中でも最大の思い出がバレンタインだ。社会人になってからの交際ということもあるし、それなりのものを渡そうと考えていた。もちろんプレゼントは気持ち次第だし、見返りを求めるものではない。それに加えてクリスマスのこともあったので彼に期待は禁物だと心に留めていた。それでも、私は人にプレゼントを贈ることが好きで、相手が喜びそうなものを選ぶことに自信があったので、調子に乗って、手作りチョコレートと一緒に彼の好きそうなピアスを贈った。私にとって6千円のピアスは、ピアスにしては高価に感じた。そもそもチョコレートだけでいいものを、似合うと思って私が選んでいるのだから自己満足といっていい。彼が喜ぶと思って選んだのだから、なんだかんだ好きなところがあって、一緒にいたいと思っていたのかもしれない。

 

彼はそのピアスを数日で紛失した。車内でピアスがないと伝えられた時、私は必死に探したが彼は「どうせ見つからないよ、残念」と言った。その日行ったお店に落ちてるかもしれないから電話してみよう、これから探しに行こうと提案する私に「そこまでしなくていいよ」と言った。

いや、贈ったものだからあなたのものかもしれないが、私が遠出して何店舗も巡って探した大事なピアスなんだけど…?贈り主の目の前でそんなこと言えちゃうんだ…

結局あとで見つかったが、人からの貰いものを雑に扱っていることが腹立たしかった。

 

それでもまだ付き合っていたのかと突っ込みたくなるが、ホワイトデー事変だ。当日、仕事終わりに会ったが、彼はホワイトデーの「ホ」の字も口にしなかった。翌日も一緒に出掛けたが、その日も彼はホワイトデーに触れることはなかった。プレゼントは私が勝手に贈ったから別として、バレンタインのお返しはないのかな。ここで私から言わないと何事もなかったことにされて終わると思った私は、できるだけ柔らかく、険悪にならぬように尋ねた。「あの…ホワイトデーってさ…」見返りを求めてる嫌な奴だ。それでもいいから彼の考えを聞いてみたかった。今思えば「お返し欲しいな~!」と可愛く言える愛嬌があれば良かったなとも思う。

 

彼は口を濁らせながら「明日届くよ」と言った。どうやら今回もネット注文をしていたらしい。明日届くなら先にそう伝えればいいのに。なんならコンビニスイーツとかで十分だ。覚えてくれていることを嬉しく思うから。とはいえ、とりあえず私は絶賛配達中のプレゼントを楽しみにするしかなかった。翌日の仕事終わり、届いたプレゼントを渡してくれた。

小さなビニール袋に入ったそれは、中学サッカー部が着けるみたいなミサンガだった。

 

どういう反応をすれば良かったんだろうと思うことが今でもある。私が彼に対して違和感を持ってしまっていたから素直に喜べなかっただけで、心から好きな相手からのミサンガなら喜べたのだろうか。贈り物に対しての感覚がもう少し似ていれば、ミサンガを見て言葉に詰まることはなかったのだろうか。

 

何にしろ多方面で彼と感覚の違いを感じていたので、そのあとすぐ別れを切り出して、交際はあっけなく終わった。

 

私はきっと、無意識のうちに彼に期待していたのだと思う。結局は見返りを求めていたのかもしれない。今までの自分がそうだったからといって、相手の喜ぶものを選んだり、喜びを伝えたり、大切にしたり、どう表現するかは人それぞれだなと学んだ。思い込みや、当たり前だろう、の考えはよくない。

相手が喜びそうなものを選ぶのは楽しいし好きだけど、それをやるならあくまで自己満足だということを自覚しようと改めて心に留めた。

 

でも、 24歳の女子にミサンガは、ないよ~~